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日本人は世界の中で印象が悪い!? - 今、世界がグローバル人材が求めている理由

May 5, 2021
今回のリーダーインタビューでは、大手監査法人にてGlobal relationshipパートナーを務めるTrevor Tisseverasinghe様をお招きし、クロスボーダー案件で活躍するプロフェッショナルに求められるマインドセット、スキル等の必須要件についてお話を伺いました。〈聞き手=キャリー・リース - Carey Rees〉
photo: trevor_tisseverasinghe

トゥレヴァー・ティセヴェラシンガ - Trevor Tisseverasinghe

Partner, Banking and Capital Market Practice, PwCあらた有限責任監査法人
イギリス出身。コンピューターエンジニアリングの学位取得後、ロンドンにてキャリアを開始、公認会計士となる。25年に渡り、金融領域の様々なクライアントと豊富なクロスボーダー案件の経験を有する。現在は、東京を拠点として、日本のメガバンクのGlobal Relationship Partner、グローバル金融機関の日本監査のリードパートナー、インバウンド・アウトバウンドのモビリティ戦略を推進する日本のモビリティリーダーなど複数の役割を果たす。グローバルクライアントとの連携、パフォーマンスの高いチームの構築に情熱を注いでいる。妻と2人の小さな息子がおり、また、大の英国プレミアリーグ好きでもある。

Table of Contents:

  • 自己紹介
  • モチベーションの維持、責任、ゴールの設定
  • 「モビリティ」について
  • グローバルな人材に必要な資格
  • キーポイントはマインドセット
  • 世界を取り巻く労働環境の変化
  • グローバル環境で仕事を始める人へのアドバイス
  • キャリアを始めたばかりの人へのアドバイス
  • グローバル化した世界は何が良いのか?
  • グローバル化に向けて一個人ができること
  • ※ 本記事は、英語インタビューの内容を元に、日本語にて読みやすく編集した内容となります。
    元の英語インタビューは、ページ上部の動画を再生してご覧ください。

自己紹介

- 視聴者の皆さんに向けて、簡単に自己紹介の方、よろしくお願いいたします。

みなさんこんにちは、トゥレヴァー・ティセヴェラシンガです。
少し変わった名前かもしれませんが、イギリスから来ました。出生地はスリランカです。なので、名前の由来はスリランカになりますね。
イギリス育ちで、キャリアもイギリスからスタートさせました。大学ではコンピューターエンジニアリングを勉強していましたが、両親と同じく会計士になりましたね。
日本では仕事で何度か関わっており、これで日本に来るのは3度目です。

モチベーションの維持、責任、ゴールの設定

- さまざまなキャリアを経験なさっていますが、何が一番やっていて楽しいですか?

仕事内容に関しては多義に渡りますが、仕事を通じて新しくクライアントとなる人たちと出会うことに楽しさを感じています。
クライアントに会って、彼らの課題を理解し、その抱えている問題を解決していく、というプロセス楽しいですね。
モビリティ戦略を推進していくことも好きですね。日本においてそれをすることに特にやりがいを感じています。
国際的な視点から、世界は前よりももっとグローバル化しており、日本企業も同じ方向を向いています。 それを達成するために、よりグローバルな環境をそこに構築していく必要があり、モビリティはそれを達成するために必要な1つのパーツです。 なので、グローバル環境においてモビリティを推進することにやりがいを感じています。
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「モビリティ」について

- モビリティについてもう少し詳しくお聞かせください

シンプルに言えば、モビリティは人が国から国へ移動することです。
日本からアメリカ、イギリス、東南アジアなどに仕事に行ったりして、毎年実際に日本から海外に出張していますし、その逆で、海外から日本にも移動させています。
そういった国際間の移動をシンプルにモビリティと呼んでいます。

- どうしたら企業や組織はそれが実現できるのでしょうか?

企業や組織というよりも、先ほど申し上げたことと重なるのですが、モビリティはグローバル環境を構築するツールのようなものです。
例えば、誰かが日本で生まれて育ったとして、アメリカに何年か仕事で行かなくてはならないとします。
そこで、グローバルな視点マインドセットを身につけなくてはなりません。
もちろん、これは逆、つまりアメリカから日本に来る場合も同じです。
マインドセット、コミュニケーションスキルなどの概念が該当するでしょうか。
私たちサイドが実際にしていることとしては、そのようなスキルセットを構築していくことです。
その構築したものを提供したり、それをより洗練させ、より良いものにしていくということをしています。

- 質問が来ていますが、どのくらいの人が実際にモビリティを使用するのでしょうか?

毎年、60-70人ほど海外に送っていますね。
この数字は日本から海外へ出る数字です。
基本的には、あるスタートアップ企業があったとして、そのうちの10%はグローバル経験やスキルを持っているべきでしょう。
もちろんビジネスによってはそれ以上のケースもあります。
そして、おそらく日本に入ってくる人材は20人くらいでしょうか。

グローバルな人材に必要な資格

- どのような人材がグローバル環境で活躍できるのでしょうか

一番大切なものはオープンマインドを持っていることです。
コミュニケーションスキルももちろん大切ですので、言語能力ももちろん大事です。
ただ、私が想定するコミュニケーションスキルは言語能力だけではありません
どのようにメッセージを伝えるかなどそういった点も重視しています。
グローバル環境に行くと、「バイリンガルでなくてはならない」という人がいますが、そうでないケースもあります。
言葉だけでなくて、ツールはなんでもいいのですが、紙に書いても、写真でも、何かメッセージを伝えようとする努力をしているならば、 グローバル環境で活躍する資格はあるように思います。
私が感じていることですが、日本人が日本にいる外国人に何かを伝えようとする際に、 正しく伝えるために、コミュニケーションの仕方を変えている場合も多いと思いますが、それは誤解を生んでしまいます。
そして、沈黙してしまうことも、誤解を生みがちです。
私がイギリスで会社を立ち上げたばかりの頃、私は少し、今より物静かシャイだったともいます。
今、日本にいて、日本人を見ていると当時の私を見ているようで、気持ちがよくわかります。
「思ったことを言わないことが美徳」といった風潮がありますが、 ただ、西洋社会においては、そういった姿勢よりもインパクトを残すこと大切で、 それは良い印象を残すということでもあります。
なので、コーチングをする際などは、必ず何か発言することや、質問することを決めておくように教えていますね。
なにか良い質問をすることで、良い方向にインパクトを残すことができますよね。
日本ではみなさん、何かを発言しようとしませんが、西洋社会ではそれは悪い印象を与えてしまいます。

キーポイントはマインドセット

日本に限らず、第二言語で話している人たちというのは、基本的に発言しにくかったりしますよね。
そのようなことを全て踏まえて、一番重要なことはマインドセットであり、すべてそこに帰結するように思います。
これは日本に限ったことではありません。
ある時、グローバル人材向けのワークショップに参加し、テーマは「上司とどうコミュニケーションをとるか」に関してでした。
色々なコンテンツを用意し、つまり、テクニックはいろいろとあるのですが、そこで私自身、2つのことを学びました。
1つ目は、私たちがミーティングにおいて伝えようとしている内容の、そのミーティング内での重要度はおそらく20%ほどだと思います。
残りの80%ボディーランゲージだったり、どういう印象を残せるかだったりだと思います。
2つ目は、「ステータスの構築」です。
どういう意味か説明しますと、私たちがミーティングに行って、上司などに会うと、無条件に尊重しがちですよね。
私自身も日本において企業の社長に会うと、自動的に尊敬してしまうモードに入ってしまいます。
しかし、そういう状況になってしまうと、私たちの信頼性というのは下がりインパクトも残せません
なので、そうした状況においては、自身のステータスレベル上げて話をしなければ、 大きなインパクトを残すのは難しいからです。
日本では、そのような状況でも成立するのかもしれませんが、西洋社会では、あまりにステータスレベルの差がありすぎると、 おそらく意見をする資格なくしてしまうかもしれません。
では、どうすればいいのかというと、非常に混み入った話になるのですが(笑)。

- ご自身は意図的に遅れて会議に参加されたことはありますか?

個人的にそういう理由で会議に遅れてくる人は嫌いなので、自分はしません(笑)。
そのようなやり方は全く建設的ではないですよね。 他の人の時間無駄にしてしまいます。
少し、言いすぎたかもしれませんが、ただ、そういう面で日本人はきっちり時間通りですね。

- モビリティを実現するためのマインドセットはどうしたら向上させることができるのでしょうか?

ひとつは、話すのを少なくして、聞いたり観察したりすることでしょう。
そして、その一つ一つを詳細に見ていき、反応することが大切です。
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世界を取り巻く労働環境の変化

- 現在、世界をとりまく労働環境が大きく変化しているように思います。そのような環境に上手に飛び込める人と、なかなかうまくいかない人は何がちがうのでしょうか?

ある会社はリモートワークが進んでおり、一方で、オフィスで仕事をするということを続けているところもあります。
それは、実行可能性、テクノロジー、企業文化などいろいろな原因があるでしょう。
弊社は多くがリモートワークとなっており、特に社内の仕事に関してはほぼリモートになっていますね。
現在、誰かが海外から日本に飛行機で飛んで来なくても、オンライン上でチームで仕事を進めていくことができるので、 モビリティグローバルなマインドセットを獲得するための非常に良い機会だと思います。
また、こういった環境にうまく適応できる人は、自分自身でモチベーションをうまく保てている人ではないでしょうか。
同時に、柔軟さを持っている人もうまく適応できているでしょう。
フィジカルに重きをおいて、そういったチームや組織の中にいることでモチベーションを見出していた人はおそらく今、 苦労しているかもしれません。

- また、そういった状況で、国際的なビジネスシーンは変わってきましたか?

それはコミュニケーションにおいてということで言いますと、そこまで変わっていないと思います。
今はリモートでビデオ会議を通じてコミュニケーションをしていますが、必要とされているスキル変わっていません
オープンさだったり、インパクトを残すことだったりですね。
もちろん、対面とオンラインでのインパクトの残し方については多少違いがありますが、コアとなるスキルは同じです。
例えば、オンライン会議で、椅子に深く座りすぎていたり、カメラから顔が遠かったりする人がいますが、 カメラに自分の顔を大きく、全ての顔を映すことで、強い印象を残すことができますね。
また、目線をカメラに向けて真正面から話すことも、強烈なインパクトを残すことができます。
オンラインではこのようなテクニックがありますね。
ただ、先ほども述べましたが核となる考え方同じです。

グローバル環境で仕事を始める人へのアドバイス

- 今まで、その国で生まれて、その国で仕事をしてきた人たちが現在のような状態になり、グローバルな環境で仕事をするようになると、色々なカルチャーショックのようなものがあるかと思いますが、そのような人たちに向けて何かアドバイスはあるでしょうか?

同じことを繰り返してしまいますが、オープンさだったり、よく聞いたり観察することは非常に大切です。
他のことでアドバイスすることがあれば、ロールモデルを決めることです。
ロールモデルを決めて真似てみることで学ぶことは多いでしょう。

- ロールモデルについてはどのように決めれば良いのでしょうか?

会社内にロールモデルにできる人がたくさんいます
そして、どう決めるかの基準についてですが、行動を共にしてみて、自分が良い経験ができたかどうかでそれを決めています。
自分自身との絡みで、良い経験が得られれば、何かしら学ぶことがあるでしょう。
また、その人が自分以外の誰かコミュニケーションをとっているときに、どうしているのかということも よく観察してみるといいでしょう。
例えば、私が初めて日本に来たときに、日本人のクライアントに対してどう接したらいいのかということがわかりませんでしたが、 会社内にロールモデルを見つけて、彼がどのようにクライアントに接しているかということを見て、 日本人クライアントとのコミュニケーションの仕方というものを学ばせてもらいました。
なので、そのようなロールモデルを観察して、同じミーティングに出て、よく聞いて、練習するということに尽きると思います。

- そういったロールモデルをメディアに露出するような有名人に設定しても良いのでしょうか?

俳優やタレントなど、そういったロールモデルも悪くはないですが、 個人的にはもう少し現実的に役に立つロールモデル設定した方がいいと思います。
例えば、同じ仕事に取り組んでいる先輩同僚などがそれにあたり、それが直接的に仕事に活きてくるからです。

キャリアを始めたばかりの人へのアドバイス

- もしご自分が若いときに戻るとたら、どんなスキルがあれば良かったと思われますか?

いい質問ですね。
「自信を持つこと」でしょうか。
何かをしたり、挑戦する際に、リスクをとる必要がありますが、そこにある程度の自信をもつことですね。
プロフェッショナルや何かの専門家として、キャリアを始める際、特に最初はその分野についての知識だったり、 裏付けが必要ですが、それが信頼性を高め、自分自身の自信に繋がります。
ただ、こういったより上流のポジションを請け負う立場になり、 たとえその分野について細かい点を全て知らなかったとしても、自信を持って仕事に取り組むことを大切にしています。
自信は非常に素晴らしいもので、仕事をしていく上で多くの場面で大きな助けとなってくれますが、同時に、それを築き上げるのは難しいことでもあります。
ただ、本当に自分の過去を見直してみると、しておいた方が良かったと思うことは、「リスクを取ること」だと思います。
そうすることで、もっとより早く、私のキャリアにおいて「自信」を形成できたかと思います。
そう考えると、一種のギャンブルですね。たくさん金額を賭ければ賭けるほど、返ってくる額も大きくなる。そして、そこにはリスクがあるわけです。
ただ、私は会計士で、慎重派なので、正直難しいのですが(笑)。
そして、偉大な起業家はいつもリスクを冒していますよね。
また、言語学習に対しても同じことが言えると思います。
間違いを恐れて喋らないでいると、いつまでも上達しませんが、 間違うリスクを恐れずにその言語を大勢の前で話すようになると、 そのリターンは計り知れませんよね。
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グローバル化した世界は何が良いのか?

- 国境を超えて、グローバルに、シームレスに人々が働くことで、ビジネスに、そして、世界に対してどんなメリットがあるのでしょうか?

今現在、多くの企業が国際的にビジネスを行なっています。
そして、日本のマーケットを見てみると、正直、縮小していますよね。
現状、非常に多くの日本企業が、日本の外側をみてマーケットチャンスを見出さなくてはなりません。
そして、そういったマーケットの拡大を試みる企業を成功させるためには社内のグローバル化に取り組み、 モビリティを進める際に、グローバル環境に合わせたマネージメントをしなければなりませんね。

グローバル化に向けて一個人ができること

- そうして、企業がグローバル化していく中で、その組織の中の一個人は具体的にどう行動し、企業やそのグローバル化に還元していけばいいのでしょうか

現代において、企業はグローバル化多様性を認めなくてはならず、 それに適応できない企業はこれ以上の成長を見込めないと言えるでしょう。
そういった状況において、個人、一人一人ができることで言えば、自分と違う人を理解し、認め、その人とともに働くことです。
例えば、多様性、グローバル化の話になると、差別についての問題も関連する話題として出てくるのですが、 私自身は直接的に差別にあったことはありません。
ただ、間接的なものは私に限らず、色々な人が感じることでもあるでしょう。
誰もが、自分がしていることの重要さを理解せずに、それをしてしまっているということをしていますね。
差別の定義としては、「違いに対して不快に思う」ことでしょう。
なので、違いを理解し認めること、そして、他者を不快にさせないことが大切であり、日本は正しい方向に進んでいると思います。

- ありがとうございます。最後に一言いただいてもよろしいでしょうか?

世界ではグローバル人材を欲しています。
さらに、私が最初に日本に来た時よりも、さらに多くの外国人が日本に来ています。
そして、グローバルな考えをもち、グローバルなマネージメントができる日本人需要はさらにもっと増えていると感じています。
このような、チャンスが転がっている状況において、オープンさをもち、新しいことを初め、リスクを取り、自信を持つことが大切なのではないでしょうか。
現状、世界に対して日本は正しい印象を残せていないように思います。
しかし、日本は世界有数の経済圏を持ち、実際大きなパワーがあります。
なので、これをご覧になっているみなさんがグローバル、国際的な舞台で良いインパクトを残していただければ非常に嬉しく思います。
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